2024/2/7

習った通りでなくて、自分のお花を活けられるようになるにはどのようにすればよいか?

習った通りでなくて、自分のお花を活けられるようになるにはどのようにすればよいか?

 

1 まず初めにお伝えしたいこと

まずお伝えしたいことは、私の場合は「検定試験」を受けることからお花を始めたのは失敗であったと思っていることです。

何から始めればよいかが分からなくて、とりあえず試験を受けて何か資格を得ておこうかと、考える方もいらっしゃるでしょう。私もそのように考えて、とりあえずNFD(日本フラワーデザイナー協会)の検定試験を受けました。検定試験コースは「試験の練習」です。創造的なお花は活けることができません。それどころか、創造的とは真逆の規定範囲で決まった形を作る練習をすることになります。試験を受けるメリットは、作業が正確に格段に早くなる事。デメリットは、既定の試験の形を最初に学んでしまうと、それがなかなか抜けなくなること。これがこのコラムでお伝えしたいことです。

*私が学んだ当時と今(2024年)は試験内容が変わっています。今はヨーロピアンスタイルも試験内容に組み込まれているので、今はある程度、他のデザインに応用できるものも含まれていると思います。試験用の教科書は本屋さんで購入することもできるので、ぜひご自分で調べてみてください。

(お花を初めて間もないうちに検定試験を受けて)デメリットを感じるきっかけとなったのは、自分がウエディングの花の仕事を(雇われで)初めたことです。ホテルのロビーに活ける装花やお手洗いに飾るような小ぢんまりしたサイズの装花など、ホテルのメンテナンスとして色んなことをさせてもらいましたが、悲しいことに試験で習った形しか作れない自分に気づくことになりました。先輩は短時間で、とてもデザイン性のある装花を、たとえそれが「残り花材」的なものでも素敵に作ることができていました。自分の実力のなさを思い知らされました。自分に沁みついてしまった「規定の型」をどのようにして拭い去ればよいのかを、この先かなり長い時間をかけて解決していくことになります。

試験を受けることを否定はしませんし、スキルアップのためになると思っています。しかし、試験を受けることから花を習い始めないほうがいいということが、私の持論になります。試験を受けるのなら、自由にお花を活ける楽しさや奥深さを知ってからでもよいと、私は思っています。

 

2 自分で考えて、自由に活けられるようになるための最初のステップ

当時はまだSNSが普及していなかったので、情報が今よりも入って来にくい状態でした。ですから、花展や作品展があれば見に行きました。とにかく、今はSNSがあるので調べやすいと思います。ます、いっぱい作品を見ること。そして自分がマネしたいと思える人を探すこと。これをするだけでも、見る目が養われてくると思うのでおすすめです。お花や植物でどんなことができるのかを、ただ楽しんで観察してみましょう。よく見てみると、植物以外の素材を使っていることもあります。その素材はどんな目的で使用しているのか、そのようなことを深堀しながら見ていると自分なりの新たな法則が見つかるかもしれません。これが自分なりの独自のデザインに繋がって行ったりするのでしょう。

とにかく、たくさん見る事で、たくさんの「引き出し」を作ります

 

3 そしてデザイン理論を理解すること

お花のデザイン理論を理解するように努めると、その理論を活用したり組み合わせたりして、素敵な造形を作りあげることができる可能性が高まります。人によっては感覚が鋭くて、何となくでも素敵なものを作り上げてしまう方がいらっしゃると思います。その方はそれでいいのです。

しかし、「なんとなく」でできない方は、学校の美術の時間で学んだような一般的な「デザインの方法」をもう一度見直すとか、色彩理論を学ぶとか、花の世界は花の世界での「デザイン論」が存在するので、それを学ぶなどをするのが良いと思います。理屈を分かって納得している事柄が増えるに従って、その納得と納得が繋がって全体像が見えてくるようになるものだと思います。ものごとを理解していくとは、そういうことなのだろうと思います。

お花の世界はほんとうに奥深くて、私の先生もまだ学んでいるぐらいですから、私も健康な限り一生勉強していくのだと思っています。

 

4 あとは自由に作って自分なりに研究する

段々とデザインの知識が増えてくると、あとはやってみるだけです。あまり思い悩まずに楽しくできればいいですね。雇われで花のお仕事に携わっている方も、自営で花屋をしている方も、自宅で花のサロンを開かれている方も、この私も、この先やってみた数だけ上手になっていくのだろうなと思います。最近はフラワーデザインの作品も生け花作品も、垣根がなくなってきているように思います。その作品だけ見ると、フラワーアレンジメントなのか生け花なのかが分からない感じです。

ただ、生け花は空間や間を大事にする傾向にあるので、それを意識しながら活けられている生け花作家さんも多いと思います。そのような視点で観察すると、フラワーアレンジメントや生け花作品の自分なりの線引きや、判断基準も見えてくるかもしれません。

 

5 多くの先生がいて、多くの学ぶことがあるけれど…

世の中は情報であふれています。人の数だけ考え方もあります。同じお花でも先生によって学んできたことが違います。ですから、何が自分にとって必要なのかを自分で選ぶようにすればよいと思っています。数々の違いから自分が選ぶとよいですよね。

例えば、ある先生は「これが必要!」と言うけれど、自分にとってはあまり重要とは思えないとか。あの先生は「このやり方」でやれと言っていたけど、自分はこっちの方がやり易いからこれで良いとか。

自分が納得できるものを採用して、足りないものは謙虚に学ぶ。これを楽しみながら少しずつ続けることで、「自分」が出来上がっていくのだろうなと思います。人は面白くて、自分にないものを持っている。だからどんな人からでも学ぶことができる。先生からでなくても、子供から「自由」を学ぶこともできます。子供って自由ですよね。

習った通りでなくて、自分でお花を活けられるようになるにはどのようにすればよいか?

取捨選択しながら、自分で「自分」を作りあげていくことに似ていますね。

 

6 最後に…

アトリエ樹和花では「理論をしっかりと学ぶフラワーデザインコース」もございます。

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「基本セオリーが分かる花のデザイン」という市販の本(合計4冊)を使用しながら、研究をすすめます。Youtubeチャンネルでは、かなり詳しい有料級の情報が満載です。ぜひ一度ご覧ください。